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大阪市街 電車唱歌
    作詞   大和田建樹
   作曲   田村 虎蔵

                           春咲く花の梅田より
  乗り出す電車心地よく
曽根崎新地打ち過ぎて
 ここは堂島 中の島

東に望む大江橋
 そこまで電車の道開け
島の出先は公園地
 名高きところは豊国社

ここは公園名も高く
 土佐堀、江戸堀打ち渡り
京町橋の東には
 夜店繁華の御霊あり

剱の東に北御堂
 阿波座の東に南御堂
何れも参詣数多き
 一向宗の掛所なり

新町過ぎて四橋の
 風景一目に見え渡る
線路もここは交叉点
 水は十字に流れたり

それより東に佐野屋橋
 心斎、三休、長堀の
橋橋過ぎて板屋橋
 末吉橋を眺めつつ

長堀過ぐれば北堀江
 下車して人の詣づるは
其名も尊き阿弥陀池
 天台宗の御寺なり

見物四時に賑ふは
 道頓堀の五芝居
乗客日夜絶えざるは
 出で入る汽車の湊町

大阪相撲の大場所も
 難波市場も程近く
新川橋のほとりには
 黄葉著名の鉄眼寺

大阪附近に聞えたる
 住吉浜寺和歌の浦
見に行く人の乗り下るる
 処は難波の停車場

今宮恵美須に参詣の
 老若群集す恵美須町
はや終点と呼ばはれて
 下車して名所を見廻らん

安井、清水、一心寺
 歴史を語る茶臼山
四天王寺の空遠く
 仰げば五重の塔高し

又電車にて立ち帰る
 西長堀の変圧所
ここは特種の軌条にて
 ダイヤモンドの名もしるし

宇和島、富田屋、問屋稿
 白髪、鰹座打ち過ぎて
玉造橋の南には
 土佐の稲荷の社あり

御代の栄の色深き
 松島、千代崎、身表橋
天満天神御旅所は
 あれよと誰も伏し拝む

築港行もにぎはしく
 ゆけば九条の発電所
行く手に響く体操の
 声は市岡中学校

磯路まぢかく来れども
 波は音せぬ夕凪や
さす朝潮の心地よく
 浮ぶ千舟の帆は白し

三条過ぎて行く程に
 大阪湾の海見えて
はや築港の桟橋に
 とまる電車の速やかさ

天保二年の春の頃
 全市の川の土砂を
積みて築きたる天保山
 灯明台の名も高し

今は明治の聖代に
 海上一里埋め立てて
港作りし大工事
 茅原の浦風身に清し

今日半一日の隙を得て
 広き市内を縦横に
延るは御代の御恵ぞ
 唯それ電車の恩徳ぞ
        
      (終) 
梅田  停留場(以下略)
東梅田
曽根崎新地
堂島北町
堂島浜町
中ノ島2丁目
土佐堀裏町
江戸堀南通


剱中通
剱南通










新町通
裏新町











西長堀南通
北堀江通
南堀江通
西道頓堀通

港町


難波元町
難波新川





難波
難波河原町
日本橋3丁目
日本橋4丁目
日本橋5丁目
恵比寿町








西長堀


宇和島
富田橋
問屋橋
白髪橋
鰹座橋
玉造

松島1丁目
千代崎橋
身禊橋
花園橋

九条二番道路
発電所前
境川町
市岡町

磯路橋
夕凪橋
朝潮橋
千舟橋

三条3丁目
三条2丁目

築港桟橋